健診センターの競合分析の進め方

健診施設や人間ドックの集患・ブランディングを進める上で欠かせないのが「競合分析(競合他院の調査)」です。
しかし「どの病院を対象にすればよいか分からない」「何を基準に比較すればよいか見当がつかない」と悩まれるケースも少なくありません。

本コラムでは、競合分析の具体的な進め方についてご紹介します。

地域・規模・価格帯の3つで比較

競合分析で最も重要なのは「どの施設と比較するか」です。
比較対象を誤ると、分析結果そのものが意味を持たなくなってしまいます。

競合を洗い出す際は「3院〜5院程度」に絞り込んで比較するのが適切です。少なすぎると客観的な分析結果が得られず、多すぎると情報収集や分析作業そのものが煩雑になってしまうためです。

抽出は「地域性」「規模」「価格帯」の3つの切り口を活用するのがおすすめです。

①地域性

自院を中心に「半径◯km圏内」や「同一沿線上」など、患者様が通院可能なエリアの競合を洗い出します。

なお都市部と地方では医療圏の考え方が異なります。
地方の場合は、単に距離だけでなく「近隣で人口規模や生活圏が近い地域」の施設を比較対象に選ぶのも有意義です。例えば貴院が栃木県宇都宮市にある場合、宇都宮市内の他院の抽出も有意義ですが、さらに群馬県高崎市/前橋市や、茨城県水戸市など、人口規模が似ている近隣も、参考にできる場合があります。

②規模

病床数や1日あたりの健診受入数が近い施設をピックアップします。

ただ、健診受入数は公式ホームページに明記されていないケースも多くあります。
その場合の裏技をご紹介します。以下に挙げる検査室の数から、規模は推測可能です。

まず内視鏡室の数を確認する

内視鏡検査(胃カメラ)は検査時間が長い一方、内視鏡室は医師1名、看護師1~2名、検査技師(洗浄担当)1~2名と人員が必要なため、病院としては「検査室を増やしたいがなかなか増やせない」つまり施設のキャパシティの限界値がわかりやすい部分です。

概算ですが内視鏡室1室あたり1時間に2.5人(2時間で5人)上部消化管の検査が可能です。
また内視鏡室の稼働時間は、よくある健診のスケジュールに沿えば、だいたい4時間(9時半~13時半)程度でしょう。
なので内視鏡室1室あたり胃カメラコースが10名ほど可能、あとは検査室の数の掛け算でその院の規模感が推定できます。

内視鏡室の数が不明であれば、超音波室、CT数、MRI数を確認

内視鏡室が不明であれば、超音波室の数も参考にできます。
ロジックは内視鏡室と同じです。腹部超音波検査は概ね1人あたり12分、1室1時間当たり5人可能です。
4時間稼働、3室であれば概ね1日60名前後の規模感です。

超音波室の数も不明な場合、CTやMRIが何台あるかも推定に使えます。ただしCTとMRIは全員が受ける検査ではないので、あくまでも概算になります。CT、MRIとも1台揃えるだけでも大変なので、複数台ある施設、あるいは診療と併用でなく健診専用にCT、MRIを持っている施設は相当に大規模施設と言えるでしょう。

③価格帯

価格帯はその施設のマーケットにおけるポジショニングを決定する要素です。

人間ドックの価格帯は、補助金を前提とした2万〜3万円程度から、コンシェルジュや24時間サポートが付く年間100万円以上の会員制ドックまでかなり幅があります。以下に大まかな価格帯とサービス内容をまとめたものを提示します。

こちらを大まかな目安としながら、他院がどのポジションにいるかを分析します。
おそらく、上述した地域性と規模感によって抽出された他院は、おそらく価格帯も貴院と大きくは変わらないかもしれません。逆に、もし価格のギャップが大きいなら、そこにも何らかの理由がありますので、深堀しましょう。

※マーケットでのポジショニングをふまえ、自院のポジションや価格をどう定義するかについては別コラム「」にてご紹介します

競合の特徴を整理する

比較対象の3〜5院が決まったら、それぞれの「特徴(強みやアピールポイント)」を整理していきます。

  • 歴史や伝統がある
  • ブランド力がある
  • 消化器、循環器、呼吸器など、特定の診療に強みがある
  • レディースドックや女性専用フロアなど、女性向けサービスが充実している
  • 近隣の有名大学病院や総合病院との連携体制が強固である

競合の特徴を客観的に捉えることで、「他院にはない、当院だからこそアピールできる強みは何か?」という差別化の軸が見えてきます。

まとめ

競合分析は、まず比較対象を適切に選ぶことから始まります。
地域性・規模・価格帯の3つを軸に3~5施設程度を比較すると、各施設の特徴や市場でのポジショニングが見えてきます。

また、言うまでもなく、競合分析そのものは最終目的ではありません。他院のポジショニングや強みをふまえながら、自院ならではの価値を明確にし、受診者様から選ばれる理由を考えることが目的です。

マーケットでのポジショニングをふまえ、自院のポジションや価格をどう定義するかについては別コラム「」にてご紹介します。