病院や健診施設の運営において「CS(Customer Satisfaction=患者満足・顧客満足)」という言葉はすっかりお馴染みになりました。一方で「ES(Employee Satisfaction=従業員満足・職員満足)」という言葉はいかがでしょうか。「聞いたことはあるけれど、あまり馴染みがない」と感じる方が多いかもしれません。
しかしこの二つは車の両輪であり、片方では十分な改善ができないものです。
ES調査、行っていますか?
病院では、医師・看護師・検査技師・事務スタッフなど、多くの職種が患者様や受診者様と接します。
そのため、患者様アンケート(CS調査)は比較的よく実施されています。
では、「職員アンケート(ES調査)」はいかがでしょうか?
CS調査と同じくらいの頻度や熱量で、院内スタッフの満足度や働きやすさを定量的に測定している病院は、実はそれほど多くないようです。
「まずは患者様第一」という姿勢は医療機関として非常に尊いものです。
一方で、現場で働くスタッフの満足度を置き去りにしたままでは、質の高い医療サービスを維持し続けることに限界が来てしまいます。
実体験 – CSとESには「明らかな相関」がある –
「CS(顧客満足)とES(従業員満足)は車の両輪」
「ESなくしてCSなし」
これは、実は私が以前、某企業で社長補佐をやっていたときの、当時の社長のポリシーでした。
私は社長室でCSとESの担当として、年1回のCS(顧客満足度)調査と、年1〜2回のES(従業員満足度)調査、およびそのデータ分析を数年にわたり担当していました。
分析を重ねるうちに、一つの明確な傾向が見えてきました。
「ESが高い部門ほど、担当するお客様のCSも高い」
ESとCSの間には、極めて強い正の相関関係がありました。現場で働くメンバーが自身の職場や業務に納得・満足し、活き活きと働いているチームほど、結果として顧客に対して最高の価値を提供できていたのです。
根底に流れる共通項は「思いやり」
なぜ、ESが高いチームはCSも高くなるのでしょうか?
根底にある共通項は、ベタな表現ですが「思いやり」です。もう少しビジネスライクな表現をするならば「相手へ深く配慮できているか」です。
CSが高い部門は「お客様は何を望んでいるか」が常に念頭にあり、行動していました。
それは、その部門の部門長だけでなく、同期の仲間など、どのメンバーからもひしひしと強く感じられました。
そしてそれはチーム内へ向けても同様で「仲間が何を求めているか」「チームとして何が望ましいか」が常に内部で意識されていました。
個人的には、正直うらやましいと思ったくらいです。
逆もまたしかりで、従業員満足もままならないのに声高に「CSは大事だ!」と叫んでも笛吹けども踊らず、そういう部門も持てきました。
社長室での数年間で、私自身も「ESなくしてCSなし」が骨身に染みたものです。
まとめ
「CS(顧客満足)とES(従業員満足)は車の両輪」です。
病院の改善活動を推進する際は、患者様向けのCS改善に取り組むと同時に、職場のES改善を並行して進めることが不可欠です。CSとESは車の両輪、揃って同じ方向に回ることで初めて、病院組織は力強く前進します。
「ESなくしてCSなし」でもあります。
もし「患者様アンケートは取っているけれど改善が頭打ちになっている」と感じられている病院様は、ぜひ一度、現場で働くスタッフの皆様の「ES(職員満足度)」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。