良い食事提供ベンダー選定を選ぶ提案依頼書(RFP)の作り方

コラム「検査後の昼食の提供はどうする?」でも書いたとおり、病院側が思っている以上に、受診者側は「検査後の食事」を重視しています。

健診施設で昼食を提供する際、外部の飲食ベンダーへ委託するケースもあるでしょう。
そこで気をつけないといけないのは、ベンダーを公募・選定する際、うやむやな条件で依頼してしまい後になって「思っていたサービスと違う」といった不一致が起こることです。

そこで重要になるのが提案依頼書(RFP=Request For Proposal)の作成です。
RFPとは病院が「どのようなサービスを求めているのか」を整理し、複数のベンダーへ同じ条件で提案を依頼するための文書です。

このコラムでは、健診施設が良い食事提供ベンダーを選定するためのRFP作りについて解説します。

まずは「背景」と「目的」を伝える

RFPというと、設備や契約条件を書いた文書と思われがちです。
しかし最初に書くべきなのは、なぜこの委託を行うのかという背景と目的です。例えば貴院の

  • 年間受診者数
  • 健診施設としての特徴
  • 受診者層
  • 食事サービスに対する期待

などを記載しておくことで、ベンダーも病院の考え方を理解したうえで提案できます。

「食事を提供してほしい」ではなく、
「受診者様にどのような体験を提供したいのか」
まで共有することが大切です。

基本要件は具体的に整理する

次に基本条件を整理します。例えば営業要件としての

  • 提供場所
  • 営業日
  • 営業時間
  • 一日の提供食数

さらに設備要件として、貴院で使用している

  • 冷蔵庫
  • 製氷機
  • 電子レンジ
  • 炊飯器
  • ジュースサーバー

など、利用可能な設備も記載しておくと、ベンダー側も具体的な運営方法を検討しやすくなります。こうした状況の中、自由診療を経営の柱の一つとして検討する病院も増えています。

しかし、

提供方式も比較検討する

食事の提供方法にも様々な選択肢があります。例えば、

  • メニュー形式
  • ビュッフェ形式
  • お弁当形式

それぞれにメリット・デメリットがあります。

また

  • アレルギー対応
  • 胃にやさしいメニュー(おかゆやうどんなどの提供)
  • 外国人対応、ハラル食対応

など、健診施設ならではの要件も整理しておくとよいでしょう。

評価基準は「QSC+C」で考える

ベンダー選定はミシュランのレストラン評価ではないので「美味しいかどうか」だけでは不十分です。
推奨は飲食業界で広く使われているQSCというフレームワークの活用です。

  • Quality(品質) … 食事の味や温度など品質
  • Service(サービス) … スタッフの接遇や対応
  • Cleanliness(清潔さ) … ホール・厨房を含めた衛生管理

この3つが基本的な評価項目です。
評価の仕方は健診施設の性質上「どれか一つが極端に優れている」ではなく「3つとも水準以上で、致命的な欠点がない」ことを重視します。

さらに、私はもう一つのCとして

Continuous Improvement(継続的改善)

を加えることをおすすめしています。
ベンダー選定時やサービス開始当初は、どのベンダーも高い熱意を持っています。しかし半年、一年と経過すると、改善活動が止まってしまうケースも珍しくありません。だからこそ「当院は継続的改善を重視しています。」というメッセージをRFPに盛り込み、定期的にレビューや報告、改善活動への取り組みを評価項目とします。

ベンダーの方へRFPの内容を直接説明する機会もあるかもしれませんが、その際には病院長やセンター長などトップから
「当院は継続的な改善姿勢(Continuous Improvement)を重視しています」
と一言お伝えいただくだけで、ベンダー側の緊張感と質の維持に対する意識が大きく変わります。

選定スケジュール、契約条件、注意事項なども明記する

最後に事務的な事項も整理し、記載します。

  • 選定スケジュール
  • 契約期間
  • 契約形態
  • 支払方法
  • 請求対象(材料、飲料、紙ナプキン等フロア消耗品、食器用洗剤等厨房消耗品、など対象を明記)
  • 注意事項

特に契約関係は、貴院の法務や契約担当の部門などと、事前に入念にすり合わせておきます。

ベンダー説明会やプレゼンテーション、試食会の日程まで示しておくと、双方とも準備を進めやすくなります。

試食会を実施すべきか?

試食会は、可能なら実施した方がよいでしょう。
お料理や接遇はテキストの説明だけではどうしてもわからない部分があります。

ただし試食会はベンダ側にも病院側にも相応の負担が生じます。
ですので機会は最小限とし、2社ないし1社に絞り込んだ段階での最終判断の材料とするくらいでよいと思われます。

注意すべきは、試食会に向けベンダー側は最高の準備をしてくるということです。
試食会ではエース級のシェフが、厳選された食材を使い、美しいお皿に盛り付け、適温の状態で完璧にサーブされる、と思っておけば間違いはありません。
一方で実際の健診ではオペレーションの効率性が重視されます。通常の食材、割れにくいお皿で、次々にやってくる受診者へスムーズに食事を提供することが第一となります。
例えて言えば、新築マンションの完璧に美しいモデルルームと、実際に住む家との違いです。

試食会での「輝き」に惑わされず「日々のオペレーションでどうなるか」で評価しましょう。

まとめ

RFPは単なる提案募集のための書類ではありません。
病院がどのようなサービスを目指しているのかをベンダと共有するための文書です。

要求事項を整理することで、ベンダーとの認識のずれを減らし、より質の高い提案を引き出すことができます。また選定後も「品質・サービス・清潔さ・継続的改善」という共通の評価基準を持つことで、長期にわたりサービス品質を維持・向上させることができるでしょう。

「良いベンダーを探す」のではなく「良い提案が集まるRFPを作る」。
ベンダー選定の成否は、実は提案依頼書の段階で半分は決まっているといえます。